定例議会での一般質問終了

2月18日、一般質問が終了しました。議場の演壇席に立つと緊張しますが、終了し、ほっとしている所です。いつもあせって早口になってしまうので、用紙一枚一枚に「ゆっくり!」「ゆっくり!」と書いておきましたが、おまじないのようで、手が震えることなく・・・・。ほっとしました。  区長から答弁いただきましたが、後日、報告いたします。

以下、質問の原稿です。

「議長30番です」

私は、杉並自民 議員倶楽部の一員として 一般質問致します。

はじめに、CO2削減と身土不二について、次に豊かな心づくりと 美しい日本語教育について、最後に子供たちを 複雑な社会の被害から守るために お伺い致します。

まず、CO2削減と身土不二について ですが、環境問題は、代表質問でも また他の議員からも質問されておりましたので、出来るだけ重複しないように質問致します。

私達は地球を取り巻く 大きな大気圏の中での炭素循環で生かされています。

地球が健康でなければ、私達一人一人も健康ではいられませんから、炭素循環を壊す環境問題は 大変重要な問題です。

本年7月に開催される 洞爺湖サミットの議長国としては、温室効果ガスの改善に対してこれまで以上に 責任をもって臨まねばなりません。

平成19年12月に開催された中央環境審議会 地球環境部会と産業構造審議会

環境部会 地球環境小委員会の合同会合において、「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告(案)」が提示されましたが、その「最終報告」によれば、CO2削減について、産業部門は改善されているにもかかわらず、全体の排出量が増加しており、特に、事務所などの業務と家庭部門での排出量が増えている という結果となっているとの事でした。

本年2月8日に環境省経済産業省が、まとめた温室効果ガス削減の追加策は、平成22年度排出量見通しでは、国民運動で100万トンの削減目標とされております。

という事は、国民一人一人が家庭で協力しなければ、削減は達成出来ないという事にもなるわけです。

杉並区では、みどりの都市として地球温暖化防止をテーマにした「環境博覧会」を開催し、サーマルリサイクルへの取組やレジ袋有料化、「我が家の省エネアイデア」を募集する等、様々な工夫の下、環境保持のための取り組みがしっかり行われており大変評価しているところです。

先日、杉並区内で、CO2削減のために、店内で販売する食品にフードマイルの表示取り組みをしていた店があると知り、状況をお聞きしてまいりました。

フードマイル food mileとは、1994年に英国の消費者運動家のティム・ラング Tim Lang 氏が提唱した概念であり、日本では、フードマイレージ(food mileage)とも呼ばれています。

「食料の(=food)輸送距離(=mileage)」 という意味で、フードマイレージは、食品の生産地と消費地が近ければ、運ぶためのCO2の使用量が小さくなり、遠くから食料を運んでくると CO2使用量が大きくなりますので 地域で摂れた食物を摂取すれば、フードマイレージが最も小さくなるという事です。

そのお店は、もともと環境問題についての意識の高いお客様が多かった様ですが、表示を付けた事によって 一人一人の意識が高まり 明らかにCO2削減に貢献している と感じている との事でした。

店頭の野菜や食物にCO2の使用量 フードマイレージを表示する事によって、消費者の意識が変わり、国産や地元の食物を買うようになる。これは、CO2削減の効果だけでなく、栄養面においても大変良い事です。

日本は、食料自給率が39%であり、日本の食卓に欠かせない 味噌や醤油の材料である大豆が、自給率5%であり、生きるうえで一番大事な「食」を 他国に任せてしまっているという国の施策には 疑問を感じておりますが、多くの食料は 遠い生産地から長い距離を隔てて輸入されています。

農林水産省の平成13年の試算によりますと、日本のフードマイレージ総量は、世界の中で群を抜いて大きく、国民一人当たりで一位となっています。

これについて、農水省幹部は、「現代の日本人が歴史上のどの時代における、どの国の王侯貴族よりも 贅沢な食事をしていることになっている」 と解説していますが、確かに、日本ほど、簡単に世界各国の食事が出来る国はないような気が致します。

身土不二」という言葉がありますが、

「身体と大地は一体であり、暮らす土地、地域において摂れる季節の物(旬の物)を常食する事で身体は環境に調和し健康でいられる」という意味ですが、現代では、スローフードや「地産地消」という言葉がよく使われるようになりました。

生産地と消費地が近くなればフードマイレージは より少なくなり、地球環境にも貢献します。また、旬の魚、旬の野菜といった食物は、価格が安いだけでなく、栄養価も高く大変おいしく健康に良いものが摂取できます。

フードマイレージを一人一人が心がける事は、国内の農業を活性化させ、ひいては、食料自給率の向上にもつながっていくと思われますが、このフードマイレージについての区の見解をお聞かせ下さい。①

学校では、CO2削減方法等の環境問題の指導をしていること と思いますが、

フードマイレージについては、どのように教えているのでしょうか?

教えていないとすれば、これから取り組んで頂きたいと思っておりますが、いかがかでしょうか?②

健康に寄与しているとの事で、杉並区内には、ヘルシーメニュー推奨店が170件程あるとお聞きしておりますが、この推奨店でフードマイレージ表示をする等、検討されてはいかがでしょうか。

また、杉並区役所や区の関連施設において、このCO2削減を、今以上に図らねばなりませんが、区の今後の対処方針について、他の議員から質問がありましたが、改めてお伺い致します。③

平成19年度の杉並区の環境白書には、温暖化対策として、「省エネ宣言」大人用や子供用が掲載されておりますが、フードマイレージについての標記はどこにもありませんでした。

このフードマイレージの考え方を学校給食で取り組めば、「身土不二」という栄養面から考えても良いことですし、子供たちの環境問題に対する意識を高めることができますし、推奨店やお店で取り組めば、一般の大人への啓蒙にもなり、国産、地域の作物を摂取しようという健康運動にもなり、国内の食料自給率も上がるかも知れません。

CO2削減と身土不二の意識を高めるために、個々の食物に、CO2使用量の表示が難しければ、大きな掲示板でイメージ表示する等、区内のスーパーでモデル的に実施してはいかがでしょうか。ぜひ、ご検討下さい。 

 

次に、豊かな心づくりと 美しい日本語教育についてですが、

日本漢字能力検定協会が公募で選んだ 平成19年の「今年の漢字」は、「偽」という漢字であり、その「偽」という漢字を清水寺でお坊さんが書いている写真が新聞に掲載されていましたが、

その写真の横には、「オピニオンプラザ私の正論」コーナーとして、第398回テーマ「いま日本人の漢字とは」 と題しての 入選作品が 掲載されておりました。

驚いた事に 二人の入賞者は、日本人ではありませんでした。

「漢字軽視は知性の荒廃を招く」 との正論を書かれたのは、メキシコの方でしたが、書かれた内容だけでなく、その文章力、語彙の豊富さにも驚きましたが、彼女は、「書かれた日本語は漢字が母体である、母体である漢字を軽視しては その言語の発展などを考える事が出来ない」 と書いていました。

そして、「「漢字なんて使えなくてもいいや」 などと考えるのは言語に対する驕り(おごり)以外のなにものでもありません、文章の簡素化を図るために、あるいは漢字が煩雑だと考えられているためか、漢字の使用を控えたり 自主規制したりする動きがある事は、日本語への危機感を感じる」とも語っています。

彼女によれば、「心」という漢字は、メキシコの国の形に似ているので 自分の国を「心の国」と自負しているとの事でした。漢字というものは まさに想像力をかきたてます。日本人として、他国の方に漢字の大切さを指摘されるとは、恥ずかしい限りです。

世田谷区では、平成16年より「美しい日本語を世田谷の学校から」とのビジョンを掲げ、内閣府構造改革特区を申請し、  12月に教科「日本語」特区 認定を受けています。

現在、英語関連の教育特区は50以上の自治体で認定されていますが、「日本語」教育特区は世田谷区だけと言う事でした。

そこで、昨年度から「日本語」という教科がスタートした世田谷の小中学校を視察してまいりました。

教科「日本語」の教科書は、5冊ありました。

小学生には、1,2年用・3,4年用・5,6年用の3種類、中学生用には「哲学」と「表現」の2種類の教科書がありますが、世田谷区教育委員会が平成19年3月に作ったものでした。

小学校一年生の教科書では、「日本語の響きやリズムを楽しもう」と「草の葉に かくれんぼうする かへるかな」の俳句や「こいん くん(胡隠君)を尋ぬ」の漢詩や 論語をも 学ぶことになっており、世田谷区の心暖まる民話には、難しい漢字に きちんとふりがながふってありました。

2年生の教科書には、俳句、論語の他に、季節をも 学ぶようになっており、3年生の教材には、漢詩論語のほかに 郷土のカルタや百人一首、日本の年中行事まで載っています。

4年生になると古文「枕の草子」があり、5年生では日本の伝統文化についても 

学ぶようになっていました。

6年生までこの「日本語」という教科書で育った子供達は、情緒豊かな素敵な日本人になることでしょう。

国語とは 違い 文法や細かい解釈にはふれず、日本語のひびきやりズムに慣れ親しむ事がねらいのようですが、正確に意味がわからなかった としても、高校生になった時に「ああこういう意味だったのか」と 改めて思い直すかも知れません。

私が、参観した授業は、5年生が漢詩の勉強をしている所でしたが、レ点や一、二の返り点も付いていない 漢字ばかりの漢詩を全員が朗読できることにも大変驚きましたが、それ以上に、子供達が活き活きしており、多くの生徒が活発に手をあげる様子に驚きました。

子供たちは古典の表現に関心を示すなど、効果を上げている とのことでした。

確かに、耳をそばだてる・・・とは言いますが、「枕をそばだてて聞き・・・」という表現を聞いていれば、語彙が豊かになると同時に心も豊かになることでしょう。

日本漢字教育振興協会 理事長の石井勳さんは、「吉田松陰や橋本佐内は、生まれつき頭が良かったから 3,4才で古典が読めたのではなく、幼児期に古典を読んだので頭が良くなった」とおっしゃっておりますが、正に この「日本語の教科書は」頭を良くする教材かもしれません。

小学校では、担任の先生がこの「日本語」の教科も教えている とのことでした。

これまで教えた事のない教科を教える事は 先生にとって負担になりはしないか  心配でしたが、教えるための指導の基本を 教育委員会が単元ごとにつくるとの事。

指導の基本を先生方が学び、その基本をふくらませて授業をされておられる様子を拝見しましたが、これは、先生への心育てにもなっているのではないでしょうか。

教科書の充実した内容にも驚きましたが、各先生がたへ指導されるというその教育委員会指導力 にも感心させられました。

この日本語授業の様子は、一昨日、産経新聞にて大きな写真入で、3年生の様子が報道されておりました。                Photo_2

中学校では、2年生の「哲学」の授業を参観させて頂きました。

中学2年生の身体と心が一緒になっていかない不安定な時期を、私は、「魔の中二」、「中2のはしか」と呼んでいますが、この不安定な時期の中学生に「哲学」を どう教えるのか、とても興味があったわけです。

「礼儀の心について考える」 という単元の授業でしたが、「礼儀について」ではなく「礼儀の心」についての授業は、考えさせられる授業であり、国際化時代であるから他国の礼儀も知ろう との単元では、私自身が勉強になりました。

礼儀の心など、最近では家庭でも教えられません。子供たちは、きっと社会に出てから役にたつ事でしょう。

正に 日頃 私が、「漢字教育の重要性」や「日本語教育をどうしているのか」と何度も質問した答えがここにあるように感じました。

「美しい日本語」特区で目指すもの という文章のなかで、世田谷区教育委員長は、

「古典は、時の流れの淘汰を経てきた 珠玉(しゅぎょく)である。古典には力がある。言葉を大切にする環境の乏しい現代において、子供達が直接古典から学ぶことは、古典のもつ力が 自然と子供達の心を打ち、子供達の心を豊かにするであろう」

と のべておられますが、確かに、古典のもつ力が自然と子供達の心を打ち、子供達の心を豊かにする事でしょう。

この世田谷区で取り組んでいる「美しい日本語」特区に対する 区の見解をお聞かせ下さい。①

杉並区でも、「杉並区教育ビジョン推進計画」では、教科用図書、教材の独自開発等、教科書つくりの案が出ておりました。杉並区らしい教科書が出来る事を楽しみにしておりましたが、この案の進捗状況はいかがでしょうか?②

また、子供達の豊かな心をはぐくむ指導 については、様々な方法が杉並区でも取り入れられていると思いますが、具体的に、杉並区では、どのように指導しているのでしょうか?あわせてお聞かせください。

最後に、子供たちを複雑な社会の被害から守るために お伺い致します。

今、携帯電話やインターネットの普及とともに、携帯電話を使った事件や、陰湿ないじめが問題になっています。

嫌がる友達の写真を携帯電話で撮ってブログに乗せて遊ぶといった、「ネットいじめ」が広がっている ということですが、インターネットによるいじめは、親も先生も見つける事が難しく、誰がいじめているのか まったくわからなく、親友だと思っていたら 

ネット上で秘密を書かれてしまった といったこともあるようです。

また、名前やアドレスを偽って他人になりすまして 嫌がらせのメールを送るという

「なりすましメール」と呼ばれるものや、悪口を書いたメールが次々と同級生の間で転送される「チェーンメール」、「学校裏サイト」等もあり、「全国webカウンセリング協議会」に寄せられる年間約3000件のいじめ相談のうち、3分の1がネットいじめに関するもの であるとのことでした。

平成18年度の 文部科学省調査結果によれば、電子メールやインターネット掲示板を使ったいじめが 5000件近くあったことが 明らかになりましたが、

群馬大、情報メディア論の 下田博次教授は、「携帯電話を持つ子供の数を考えると、5000件は氷山の一角。子供は遊び半分で 悪口を書き込んでいる。

書かれる側のダメージを理解させる教育を、教師や保護者が早急に行う必要がある」と 指摘しています。

世田谷区の教科「日本語」の中学生用に「哲学」「表現」という教科書がある事は、先ほど語りましたが、中学生の「哲学」は、人が生きることの意味を学ぶように構成されていますし、「表現」という教科書の「情報社会における表現」という単元では、「情報モラル」や「情報発信における個人の責任」を身に付けるようになっていました。

岐阜県本巣(もとす)市立糸貫中学校では、生徒自身が作った「ネット憲法」なるものがあり、憲法前文には

「ネットの向こう側の相手を大切にした 使い方を目指す」と書かれてあり、ネットや校内掲示板を利用する際の 注意を33か条にまとめているとのことでした。その中学校では、「ネットの向こうのだれか」を意識する練習 の授業もされている様子です。

複雑な社会の中で 情報のモラルや責任を正しく教える事は重要となっており、各自治体でも様々な取り組みを始めているようですが、杉並区の取り組みはいかがでしょうか。②

ネットによるいじめは、匿名だけに、学校は対応が難しいでしょうが、出来るだけ把握して頂きたいものです。

平成19年の三菱総合研究所による インターネットアンケートでは、携帯電話を持つ小学生は、3年生では、19.5%、4年生で、25.1%で、6年生では、40.6%が、自分専用の携帯電話を持っている との結果が出ており、5年前に比べると4倍に急増したとの事です。

過去に比べれば 現実に危険な社会ですから、親としては子供の居場所を知りたいという思いがあるでしょうし、今後、携帯電話を所有する子供は もっと増えていくこととでしょう。

携帯電話による問題が指摘されている中で、家庭において使い方のルールを決めている家もあるとのことですが、アンケート調査によれば携帯電話の料金等のルールをまったく決めていない家庭が、45.9%という事であり、携帯電話の怖さがあまり判られていないという結果も出ております。

携帯電話やインターネットの使い方も複雑になっており、親の方がそれについていけないという現実もありますが、最近では、ほとんどの携帯電話に「サブアドレス拒否機能」や「フィルタリング機能」がありますし、平成19年12月には、総務省が、携帯電話会社4社へフィルタリングの取り組み強化を要請した との事ですので、今後は少しは被害が 少なくなるかも知れません。

岡山県玉野市教育委員会では、携帯電話・インターネット調査の集計をしており、小学生でインターネットを一日1時間以上する子が8%、中学生では、15%いるという結果が出ていました。

一時間以上ネット検索する事によって、子供には見て欲しくない 危険なサイトに入る事もあるわけですから このネット使用時間を親や教師が気づく事も いじめやネットによる事故の予防の一つになるのではないでしょうか。

杉並区では、インターネットの利用状況に関する調査は行っているのでしょうか?お伺い致します。①

また、携帯電話の使い方を含めた情報モラル教育について子供や保護者に対してどのように指導しているのでしょうか?あわせてお伺い致します。 ②

次の世代に良い食環境や教育環境、社会環境を繋げる事は、私達大人の使命であります。

次代を担う子供達の笑顔あふれるあたたかい社会を願って 以上、質問を終わります。